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映画『銀河鉄道の父』

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笑って、泣いて、ぶつかって 弱いけど強い、それが家族。
INTRODUCTION

無名だった宮沢賢治を支えた、父と家族の絶対的な愛に涙する。日本中に届けたい感動の物語

今もなお唯一無二の詩や物語で、世界中から愛されている宮沢賢治。だが、生前の彼は無名の作家のまま、37歳という若さで亡くなった。彼の死後も、その才能を信じ続けた家族が、賢治の作品を諦めずに世に送り続けたために、高い評価を得るようになったのだ。
そんな賢治は「ダメ息子だった!」という大胆な視点から、賢治への無償の愛を貫いた宮沢家の人々を描き、第158回直木賞を受賞した「銀河鉄道の父」(著:門井慶喜)。歴史のスポットライトの陰にいた賢治の家族への丹念なリサーチを実らせ、「見たこともない賢治の物語」「深い愛に涙が止まらない」などと絶賛された傑作小説の映画化が実現した。
『八日目の蟬』や『いのちの停車場』など、人と人との触れ合いや絆を通して、人生の豊かさを描いてきた成島出監督が、何があっても信じ合い、助け合い、互いに味方であり続ける家族の強い想いに、心を揺さぶられ熱い涙があふれだす、希望の物語を完成させた。

何があっても息子を信じて、みんなで生きた。あなたは家族の希望だから−

宮沢賢治の父・政次郎に扮するのは、役所広司。厳格な父であろうとするが、溢れ出す息子への自らの愛に振り回され、やがて賢治の紡ぎ出す物語の一番のファンになっていくまでを、ユーモアを添えて大らかに演じた。透き通ったガラスのように繊細かつ無邪気な青年期の賢治には、菅田将暉。まだ何者でもなかった頃の賢治が、進むべき道を探して葛藤する姿は、多くの迷える若い心に救いと光を届けるだろう。
賢治の妹・トシには、森七菜。まだ女子には勉学は必要ないと言われることが多かった時代に、父親を説得して進学し、賢治の創作の原動力にもなった聡明なトシを溌溂と演じた。賢治の祖父・喜助には、田中泯。質屋稼業を立ち上げて成功させた、規律や上下関係を重んじる明治の家長を体現したような祖父だが、田中泯が演じることによって、歩んできた日々を垣間見せる深みや奥行きを与えた。賢治の母・イチには、坂井真紀。政次郎の背後から、いつも優しい微笑みをたたえて子供たちを全力で肯定する母を温かく演じた。兄のことが無条件に大好きで、賢治の代わりに宮沢家を引き継ぐしっかり者の弟・清六には豊田裕大。

時代は宮沢賢治が誕生した明治29年から始まり、大正を駆け抜けて、昭和10年に至る約40年、舞台は岩手県花巻と東京。成島監督作品を支えてきた美術・装飾・衣裳のスタッフが時代考証とリサーチを重ね、賢治の生家や執筆と畑仕事に励んだ桜の家を蘇らせた。また、「春と修羅」「注文の多い料理店」の初版本も忠実に再現され、宮沢賢治の愛読者には心躍る映像となった。
エンドロールへとたどり着いた時、観る者の胸を張り裂けんばかりに満たすのは、政次郎、トシ、イチ、清六の賢治への絶対的な愛と、彼を信じる強い想い。ぶつかり合い、支え合い、最後には「ありがとがんした」と感謝することで、輝かしくも美しい人生を送った宮沢賢治とその家族。賢治の没後90年となる2023年、どんなに時代は変わろうとも、家族の愛は変わらない。笑って、泣いたその後に、自分の家族に会いたくなる、あなた自身の物語。

STORY
笑って、泣いて、ぶつかって 弱いけど強い、それが家族。

質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。 そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる──。

THEME SONG

いきものがかりが想いを込めて書き下ろした主題歌

主題歌は、いきものがかりの書き下ろしで、2人体制になってから初の映画主題歌となる。「STAR」というタイトルで、穏やかなメロディと吉岡聖恵の透き通るボーカルが、ぶつかり合いながらも支え合う宮沢家の大きな愛を感じさせる楽曲となった。
吉岡聖恵は「(映画を観て)賢治をまるごと包み込む父、政次郎の深い愛情を感じました。たくさんあたたかさを感じる作品で、拝見してたくさん涙しました。私としては出産が近づく中での歌唱だったので、この曲に親子の関係をおもいながら、あたたかな気持ちで歌わせて頂きました」とコメントしている。また、作詞・作曲を手掛けた水野良樹は「他人からみたら、大袈裟で、滑稽にみえるほど、相手を一生懸命に肯定するという瞬間が、人と人とのつながりのなかでは、ごくまれに生まれることがあると思います。誰かが誰かを肯定することを、優しく包み込めるような楽曲にできればいいなと思ってつくりました」と語っている。

ORIGINAL

原作

門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)

原作「銀河鉄道の父」詳細はこちら
きっと家族に、会いたくなる